がん医療への取組

当院のがん医療

 今や、日本人の2人に1人が「がん」にかかり、また、死因のうち3人に1人は「がん」で亡くなっていることが報告されています。
 当院では、特に患者さんの多い5大がん(肺がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん)に加え、前立腺がん、皮膚がんなどを中心に、集学的治療を提供しています。

 集学的治療とは、主に手術療法、放射線治療、薬物療法などの様々な治療を、適切な時期に、適切な組み合わせで実施することです。それぞれの治療を単体で行う場合もありますが、より高い効果が見込まれる場合には、二つ以上の治療方法を組み合わせて実施します。

 また、当院ではがんに対する治療だけでなく、各種の検診や人間ドックによる早期発見にも注力しているほか、退院後の在宅生活でも地域の医療機関と連携し、質の高い医療を受けられるように取り組んでいます。そうした連携体制が県より評価され、「がん診療連携拠点病院」の指定を受けています

当院の主ながんの対応

・肺がん ・呼吸器内科 ・呼吸器外科
・胃がん ・大腸がん ・肝がん ・消化器内科 ・消化器外科
・乳がん ・乳腺外科
・前立腺がん ・膀胱がん ・泌尿器科
・皮膚がん ・皮膚科
・口腔がん ・歯科口腔外科

がん治療の3本柱

(1)手術療法

 がん治療の3本柱の1つで、がん組織を外科的に取り除く治療法です。

 当院では主に外科系の診療科(消化器外科、呼吸器外科、乳腺外科)や泌尿器科で治療に当たっており、内視鏡や腹腔鏡を用いた、体への負担の少ない「低侵襲治療」を積極的に行っています。
  

 手術療法のメリットとして、ある程度の規模のがんであれば、病巣を物理的に取り除き、根治させることが可能です。手術の際には、がん細胞が残って将来に再発することを防ぐため、病巣だけでなく、がん細胞が転移している可能性のある周囲の正常組織も含めて取り除いたり、周辺のリンパ節も切除(郭清:かくせい)し、より確実な根治治療を目指します。

 しかし、進行したがんの場合、手術できる範囲を超えて様々な部位へ転移が広がっていることがあります。そのような場合には、他の治療法も組み合わせて、総合的に治療を進めることを選択します。

(2)放射線治療

がんの種類や進行度によっては、手術や抗がん剤だけでは除去できなかったり、手術前にがんを出来るだけ小さくする必要があったりします。
この時、放射線治療器「リニアック」を用いて、放射線を集中的に患部に当てることで、がん細胞を死滅させ、がんの縮小を図ります。

放射線治療器「リニアック」

放射線治療のメリットとして、入院せずに外来通院で受けていただくことが可能な上に、外科的に体を切らないため、体の器官の形、機能、形態を温存したまま治療を行うことが可能です。

(3)薬物療法

薬を用いてがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞を死滅させる治療法です。使用する薬剤には、抗がん剤、分子標的薬、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤など様々な種類があります。

よく言われる「化学療法」とは、抗がん剤を用いてがん細胞を殺傷するという治療を行うもので、飲み薬や点滴によって全身に抗がん剤を行き渡らせ、全身に散ったがん細胞を攻撃します。がん細胞への効果がある反面、正常な細胞にも影響が及びやすく、副作用を和らげることが重要となります。

現在は、抗がん剤の進歩により、日常生活を送りながら通院して外来化学療法を受けていただくことができます。

外来化学療法室

がん患者さんへのサポート

(1)検診、人間ドック

 当院では市民病院の役割として、予防医療にも力を入れています。より多くの市民の方が、がんを早期発見し、早期から治療に取り掛かれるよう、各種の検診、人間ドックのメニューを充実させています。

人間ドック室

(2)緩和ケア

 がんの診断・治療を受ける中では、ステージに関わらず、体にも心にも、様々なつらさが生じてくることがあります。その時、患者さんが自分らしく過ごしてもらえるよう、つらさを予防したり、和らげたりするための治療を、「緩和ケアチーム」が中心になって提供しております。

 緩和ケアでは、精神的なサポートのほか、疼痛を管理するためのオピオイド(麻薬性鎮痛剤)やブロック注射の使用、リニアックによる放射線治療などを併用し、痛みに対応しています。
 また、緩和ケアを目的に入院される方が快適に過ごせるよう、専用の「緩和ケア病室」を2室(個室)設置しています。

(3)がん患者さんへの相談対応

 がんに関する様々な悩みに対して、専門的なスキルを持った認定看護師(がん分野)、地域医療連携に関わる看護師やMSW(医療ソーシャルワーカー)などが対応し、サポートします。

○ 主な相談内容
  • 病気、治療への不安
  • セカンドオピニオンを受けたいとき
  • 高額療養費、限度額認定証などの申請について
  • 職場、社会復帰に関する問題
○ 患者会の開催

 がん患者さんやそのご家族にしかわからない、悩みや体験を共有し、お互いの気持ちを支え合うことを目的にしています。

みやっこオレンジ会第4金曜日/年3回 14時~15時
みやっこマンマの会第3火曜日/年3回 14時~15時30分
※詳細はこちら

○ がん相談・患者会に関するお問い合わせ先

 患者総合支援センター
 電話番号(直通):0798-64-1540 (平日9時~16時)

兵庫県指定がん診療連携拠点病院

 兵庫県では、がん医療における地域連携を促進し、更なるがん医療水準の向上を図ることを目的として、「兵庫県指定がん診療連携拠点病院」の指定を行っています。これは、県内各圏域において、がん診療機能が充実しており、県民に安心かつ適切ながん診療を提供することができると認められた医療機関を指定しています。

 当院は平成23年2月16日、兵庫県知事より「兵庫県指定がん診療連携拠点病院」の指定を受け、平成28年3月24日に更新しました。今後も地域の医療機関や他のがん診療連携拠点病院と相互に連携してがん治療水準の向上に努めるとともに、緩和ケアの充実、在宅医療の支援、がん患者・家族等に対する相談支援、がんに関する各種情報の収集・提供等に取り組み、地域におけるがん医療の充実を図ってまいります。

がん連携パスについて

今やがんで亡くなる方は3人に1人と、死因のトップとなっております。がん撲滅のための対策として、2007年にがん対策基本法が施行され、全国どこでも標準的ながん医療を受けられるようにがん診療連携拠点病院が指定されています(当院も兵庫県指定の拠点病院です)。

しかし、最近の医療は高度化しておりますし、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を併せて持っておられる方も増加しております。 ゆえに1つの病院だけでがんの診断・手術や化学療法から痛みや不安などのケアを担う緩和医療まで行い、さらに併存している慢性疾患の治療をも行うことは不可能ですし、医療の質の低下にもつながりかねません。 自分の住んでいる地域で、安心して質の高い医療を受けてもらうためには、拠点となる病院と地域の診療所が連携して患者さんの診療に当たるという、地域完結型の連携ネットワークの構築が必要不可欠です。

そのためのツールが連携パスノートです。このノートが当院ならびに当院と連携している医院を行き来することで情報を共有することができるのです。

どうぞこのシステムをご理解いただき、ご協力のほどをお願いいたします。

がん登録

がん登録とは

 がんの発生状況、がん医療の実態を把握し、がん医療の向上やがん対策等に資するために、がんの診断・治療・予後に関する情報を収集・整理・蓄積し、集計・解析をすることです。

 「がん登録等の推進に関する法律」の施行により、2016年1月「全国がん登録」が始まり、がんと診断された方のデータは全て国で一元管理されることとなり、がん登録データの提出が義務化されました。

がん登録集計

院内がん登録全国収集データの二次利用について

 国立がん研究センターに提出された院内がん登録データは報告書を作成するだけでなく二次利用として

①データのより詳細な集計や研究解析を行って実態を検討する

②全国規模で対象を選び病院からアンケートをお送りして意見をうかがうなどの活動を通じて、国全体で、より良いがん医療、がん対策に役立てることが期待されています。

 これらの二次利用は定められた審査を経て行われるものですが、もし自分に関する情報が二次利用に使われたくない場合は当院の窓口(医事課)へお申し出ください。

ページトップへ戻る